幻覚剤・フェンサイクリジン PCP: 構造、作用機序など

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このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: PCP とは
  2. PCP の作用機序
  3. PCP を使った統合失調症モデル

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概要: フェンサイクリジン

PCP は図のような構造 (1) をもつ化合物で、幻覚剤としての乱用が問題になっている薬剤であるが、統合失調症 のモデルを作るためにも使われる。

PCPの構造

アンフェタミンなどの dopaminergic agents は、陽性症状のみを再現するのに対し、PCP などの NMDA 受容体拮抗薬は陰性および認知症状も再現する (3I)。


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作用機序

PCP は NMDA receptor に高い親和性で結合し、non-competitive antagonist として働く (2)。高濃度では、ノルエピネフリン norepinephrine、ドーパミン dopamine (DA)、セロトニンなどの受容体にも結合する。

> 統合失調症では一般にドーパミン系が活性化しているため、かつては DA 受容体への作用が重要とされた (2)。

: Glutamatergic neuron よりも、GABAergic neuron の方が発火頻度が高い (fast-spiking)。
: Open NMDA receptor は fast-spiking cell の方が多いため、PCP は GABAergic neuron によく効く。
: これが PCP の作用機序の一つであるが、なぜ mPFC に投射する vHipp cell で感受性が高いのかは不明。 : 現在では、ドーパミンと NMDA 受容体の両方に作用しているとされる。
: MK-801 の方が、より選択的な NMDA 受容体拮抗薬である (2)。

PCP を使った統合失調症モデル

統合失調症の症状を再現させる薬としての PCP の特徴は以下の通り。

> 陽性症状、陰性症状、認知症状の全てを再現 することができる (2)。

: メタンフェタミン などは陽性症状のみを再現すると言われている。陰性症状は改善することさえある。
: 動物モデルでは、陽性症状は hyperlocomotion と相同であるとされる。

PCP と mPFC

Prefrontal cortex のうち、とくに medial PFC (mPFC) hyperactivity は統合失調症の患者や多くの動物モデルに共通してみられる現象である。

> PCP を投与したラットは mPFC が活性化し、その程度が症状 locomotor activity などとよく相関する (2)。

: 麻酔をかけたラットでも、mPFC の活性化がみられる。行動異常の二次的作用ではないことを意味する。
: Methamphetamine でも似た表現型がみられるが、mPFC はあまり活性化しない。

> ただし PCP は血中に投与しなければならず、mPFC に直接投与しても活性化しない (2)。

: MK-801 でも同様。また mPFC の tissue slice に PCP を投与しても活性化しない。
: Methamphetamine でも似た表現型がみられるが、mPFC はあまり活性化しない。
: Ventral hippocampus 付近に PCP を投与すると mPFC が活性化する。
: とくに、mPFC に直接投射している vHipp neuron が感受性が高いようである。

> PCP は mPFC で c-fos mRNA を誘導するが、antipsychotic clozapine でその発現が抑制される (2)。

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References

  1. By Acdx - 投稿者自身による作品, based on en:Image:PCP.svg, CC 表示-継承 3.0, Link
  2. Jodo 2013a (Review) The role of the hippocampo-prefrontal cortex system in phencyclidine-induced psychosis: A model for schizophrenia. J Physiol 107, 434-440.
  3. Eyjolfsson et al. 2011a. Altered 13C glucose metabolism in the cortico–striato–thalamo–cortical loop in the MK-801 rat model of schizophrenia. J Cereb Blood Flow Metab, 31, 976-985.